自閉症スペクトラム障害のコミュニケーション支援に有効。ソーシャルストーリーズ。

わびさび
言語聴覚士として小児の臨床にも関わらせて頂いています。

自閉症スペクトラム障害のお子さんなどは暗黙のルールを理解することに苦手さがあり、生きづらさを感じている子も少なくありません。

そのため、社会性の問題からソーシャルスキルトレーニング(SST)を必要としているお子さんも多くおられます。

今回紹介するのは社会性の問題に対する教育技術であるソーシャルストーリーズ。STの中でも、言葉を聞いたことのある方は少ないのでは?私は最近まで知りませんでした。。



SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは

みんな違ってみんないい。

簡単に言うと世の中の分かりにくい暗黙のルールを分かりやすく置き換えて学び生きやすくなることを目的に社会性を育む訓練のことです。

私も実際に臨床でSSTを行うことがあるのですが、これで良いのかと悩むことばかりで、言語聴覚士としてどのように子供たちに関わっていったらよいのだろうかと最近は小児の臨床に対して苦手意識を持ち始めていました。

この現状を打破するきっかけとして、何か新しいことを学んでみようと探したところ、たまたまソーシャルストーリーズというセミナーが近場でやっていることを知りました。

そこで講師をされるのが、発達障害分野で本も出版されている服巻智子先生だったので、今悩んでいる問題の解決の一助になるかもと期待を込めて、受講を決意(--〆)

最初に簡単に感想を述べておくと、手間はややかかりますが、障害児だけでなく子供全般に分かりやすく社会のルールを教える方略として有益かと。ストーリを作る上での考え方などは子供とコミュニケーションをとる上で非常に勉強になりました。

 

ソーシャルストーリーズとは?

絵が上手な人が羨ましい。。

機能の高い自閉症スペクトラムのある人たちの子どもから成人まで、暗黙の了解ごとや社会のルールを教え、主体的に自ら進んで正しい行動を取るこ とができるように支援することのできる、もっとも効果的な教育技術。

引用:ソーシャルストーリーズ入門ワークショップ

自閉症スペクトラム障害(特に高機能自閉症)に特化した情報提供方略で情報処理をサポートするために、体験に基づいた分かりにくい暗黙のルールを文章化します。

ソーシャルストーリーを書くことを通して、その子がどのように考えたのかを学び、オリジナルのストーリーの中で情報を整理しながらどうすれば良かったのかなどを提案します。

わびさび
絵などをも併用することを推奨していますが、絵心のない私には。。。

ソーシャルストーリーの作成法

  • 全体の少なくとも50%は達成したことを賞賛する。
  • 必ず事実文をいれて、あとの5文型(見解文、協力文、指導文、肯定文、調整文)からは、一つあるいはいくつか選択する。
  • 指示よりも説明を多くする。
  • 前向きな表現を用いる。など

引用・参考文献:お母さんと先生が書くソーシャルストーリーTM新しい判定基準とガイドライン,キャロル・グレイ,クリエイツかもがわ,2006

注意点や作成の際のポイントなどあるので、興味のある方はぜびセミナーを受講してみてください。



自閉症の脳の特性

特性を理解することが大切。

ソーシャルストーリーを作る前に特性を知っていなければ、対応も困難。ということで、簡単にまとめました。

社会性の低下

社会の暗黙のルールと言ったものを理解するのが苦手な傾向があります。そのため、歯に衣着せぬ言い方などにより、対人関係で苦労するケースが多いようです。

白黒思考

曖昧な状態に耐えられず、物事を白か黒か、良いか悪いかなど極端に2択で考えてしまいやすい特性を持っています。

例えば、課題を行ってほぼ満点だったとしても、1問間違えただけで、「何でできないだ!僕はダメなやつだ!!」といった感じでパニックになりやすい特徴があります。

つまり、少しでも失敗すると全てがダメになると思ってしまいやすいのです。

ジョイントアテンション(共同注視)が難しい

人と楽しいこと等を共有する能力のことで、正常発達では1歳~1歳半でみられるようになります。

他者と同じものを共有することが難しいために、中々一緒に遊ぶことができず一人遊びを好む傾向があります。

他者への注意も向きにくいので、経験不足から言語発達も遅れやすい傾向があります。

セオリーオブマインド(心の理論)の遅れ

目の前の人が考えていることを推察する力のことで、正常発達では3~4歳でできてくると言われています。

言葉の裏を読み取ることが難しく、言葉通りに受け止めてしまう傾向があります。なので、逆に嘘をつくのが下手といった特徴もあります。

セオリーオブマインドを検査する方法として有名なのは「サリーとアン課題」。ご存知の方も多いのではないでしょうか?

セントラル・コヒーレンスの問題(中枢性統合)

物語の枝葉と幹がわかるかといった、様々な情報を整理統合、処理して全体像を掴む力のことです。

細部が気になるなどして、主題を捉えることが難しくなります。写真などをみても、真ん中に移っている人ではなく、背景に移っている木が気になるなど。

実行機能の問題

急な変更があっても変更できる力のことで、いわゆる融通がきくかどうかの問題。

見通しが立たなかったり、スケジュールに急な変更があったりするとパニックになりやすい特徴があります。

興味関心が狭い

特定のものにこだわって興味関心を持ち、その他のものには全く興味を示しにくい特徴があります。特に強い場合は、専門家顔負けの知識を持っている場合も少なくありません。

特異な感覚症状

すべての感覚領域で過敏性や鈍麻性が生じることがあり、環境によるストレスを受けやすい場合があります。一般的には、不快を感じない音でも不快感を感じてしまうなど。

 

実際にセミナーを受講してみて

集中できるようにセミナー前は7時間は寝るタイプ

参加者の殆どが自閉症特性のあるお子さんをもった母親が多かった印象です。なので、私は少々浮いていたような気がします(-_-;)

セミナーに参加するうえで「お母さんと先生が書くソーシャルストーリー」という本を購入する必要があったため、事前に読んでから参加しました。詳しくストーリーの書き方や注意点について実際例を交えて書いてあります。

セミナーで資料もいただけるのですが、今後ソーシャルストーリーを書いていこうと思うのであれば、本はあった方がより詳細に理解でき、活用していけると思います。

先生の体験談を交えて自閉症児との関わり方について教えて頂きました。

セミナー終盤にはストーリーを実際に作る場面があったのですが、結構難しい。。

4人ぐらいのグループで絵は描かず、ストーリーだけを考えたのですが、作成には結構な時間がかかり、悩みました。主語を明確に!などの指導を頂きながら何とか作り上げました。

テーマ:夏休み(なぜ夏休みがあるのか?)

夏休みは長く学校がお休みになります。7月21日から8月31日までお休みです。その中で、2日間、先生に元気な顔をみせるため学校に行く日があります。・・・・など

セミナーを受講した感想としては、実例を交えて非常にわかりやすく説明していただき、ソーシャルストーリーズのことはもちろん、自閉症のことについても理解を深めることができました。

特に褒められたり、感謝される経験が少ない子も多い子たちに、スモールステップで刻んで、褒めてあげることの大切さを再認識。

「感謝された経験のある子は感謝できる」

正の体験を多く経験できるように環境を調整することも重要だと感じました。

また、不適切な行動を取った時に否定せず受け止めてから、こうすればもっと良かったかもしれないと、指導ではなく提案する、変えようとしないという考え方もハッとさせられました。

とても有益な時間を過ごすることが出来ましたが、どう活用していくかが今後の課題!といったところでしょうか。

 

言語聴覚士として臨床でどう活かすか?

使っていかなきゃセミナーを受けた意味がない。

「ソーシャルストーリーは、1日で正しく書けるようにはならない」とのこと。

先生によると700~1000ほどストーリーを書きあげたら一人前\(◎o◎)/!

作成には、仲間をブレーンストーミングすることを推奨しています。

小児専門ではないSTとしては時間が、、うーむ。。。

自閉症児に接する上でストーリーを書く時のポイントを意識するだけでも、コミュニケーションが取りやすくなって有益です!が、せっかく学んでのであればもっと活かしていきたいところ。

じゃあ、どうするのか。

私が今実践している・していきたい方法を紹介したいと思います!

家族に勧める。

親御さんにお子さんを理解する方法として「こんな方法もありますよ」と提案しています。

そこから先の学習は、親御さん次第ですがソーシャルストーリーを作る上で協力はできると思っています。

まだまだ、提案以上のことはできていないのが現状ですが(-_-;)

リハビリの中で一緒に考えてみる。

多くて週1回、40分~60分のリハビリの中で即席にはなりますが、学校での出来事などを聞いて実際に簡易的にストーリーを作ってみたりしています。

現在やってみて、表出された情報をまとめる作業と言った要素が強くなってしまいがちなので、もうこの時点でソーシャルストーリーではないのかもしれませんが、、。

ソーシャルストーリーズの考え方を基に、どんな風に考えて、どんな行動をとったのかなどをまとめて確認したのちに、最も最適であろう行動を提案するといった形で介入していけるといいのかなと。

文例集などを活用

作成するのが難しいなら、文例集からアイディアをもらいながら活用するといった方法です。

 

まとめ:ソーシャルストーリーズを学ぶならまず、セミナーの受講をおススメ!

まずは子供たちを理解することから。

ソーシャルストーリーズを日本で教えることができるのは服巻智子先生だけとのこと。私もこの先生のセミナーに参加しました。

ソーシャルストーリーズは過去に誤った使い方から自閉症スペクトラム障害の人を追い詰めることもあったらしく、実際に使用する際には注意が必要ということをおっしゃっていました。

定期的に入門編としてセミナーを開催しているようなので、正しく支援ができるように興味のある方はまずセミナーに参加してみましょう!

わびさび
小児を専門にしているSTには是非ともおススメします!

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ABOUTこの記事をかいた人

20代、田舎で言語聴覚士をしています!「わびさび」を感じられる余裕を持つため、QOLの向上を目指します。リハビリ関連の知識のアウトプットを中心に資産運用などにも取り組んでいます。色々なことに挑戦し、役立つ情報を発信できるように頑張ります!!