災害リハビリで言語聴覚士ができることって何だろう?

2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震と大きな地震が数年ごとに起きています。

私は被災した経験はありませんが、メディアを通じて震災のすさまじさを感じました。

 

地震は、台風などのように予測が難しい。

もうすぐ、地震がくるから避難しよう、準備しよう、なんてそんな悠長な時間は与えてはくれません。

多くのメディアでも言われていることですが、地震に遭遇した時にどのように行動するのか最善かを事前に知って準備しておくことが大切です。

 

今回、メディアを通じて、被災地支援について考える機会を得ました。

私は言語聴覚士なので、どのようなことができるのだろうか?と。

協会などを通して漠然とは知っていましたが、具体的なことについては知らず、現状では問題が起こった時に行動を取ることが出来ないなと認識させられました。

災害時には迅速な対応が求められます。

そこで、良い機会と思い言語聴覚士の被災地支援について私なりにまとめてみました。

 

災害リハビリテーションとJRAT

災害支援において、リハビリテーションによる支援活動を組織的に行っていくために、JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)という団体が存在します。

平時から参加団体相互が連携し、各地域において地域住民と共に災害に立ち向かえるように災害リハビリテーション支援チームを発足させ、大規模災害発生時には災害弱者、新たな障害者、あるいは被災高齢者などの生活不活発病への予防に対する適切な対応を可能とすることで国民が災害を乗り越え、自立支援を再建、復興を目指していけるように、安心、安全且つ、良質なリハビリテーション支援を受けられる制度や体制の確立を促進することを目的とする。

引用文献:JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)

災害リハにおいて、災害支援に関する知識の共有や組織間の連携がとても大切です。

特に被災初期には、情報が錯綜としており的確な支援の提供を行うことが難しいようです。これを解決するには、チーム間の情報共有、つまり連携がとても重要になります。

また、誰が何をできるのか、といった役割というものも事前に共有しておくことも大切です。

 

  • 災害前には、被災地支援における教育や広報、情報共有、ネットワークの構築、機材などの準備。
  • 災害時には、最短で安全に、必要なところに、必要なものを、必要な分だけ、支援を提供する。

 

言語聴覚士はリハビリテーションという形で、災害関連死の予防に助力することができます。

被災地において最適な支援を提供するには、リハビリテーションにおける関連団体の連携がとても重要になります。

わびさび
言語聴覚士は、日本言語聴覚士協会を通して関わります。

 

言語聴覚士が災害時にできること

  1. 高齢者・障害児者のコミュニケーション活動の維持・拡大
  2. 高齢者・障害児者の摂食・嚥下能力の維持 
  3. コミュニケーション機器の評価(情報収集と解決すべき問題の把握)・相談・助言
  4. 適切な食事形態の評価・相談・助言
  5. 高齢者・障害児者の生活環境保全
  6. 生活不活発病の予防および対応

引用文献:2011年度災害時におけるメディカルスタッフの役割 言語聴覚士

一つずつ見ていきましょう。

コミュニケーション活動の維持・拡大

  • 高齢者(認知症や難聴等)
  • 言語聴覚障害者(失語症等) など

コミュニケーションの取り方を周囲の人たちに助言や橋渡し等して支援を行います。

また、普段からコミュニケーションの支援を必要としている人だけに限らず、声掛けしていく事も重要です。

避難先してくる人も、自分のことで手一杯で余裕がない方も多いと思われます。そのため、コミュニケーションをとる機会が減少して人との関わりが薄れてしまうこともあります。

避難先で一人でいることは、とても心細いことです。

特に核家族化が進んで、高齢者と話す機会が減った現在、高齢者とコミュニケーションをとるのが苦手といった人も多くいます。

わびさび
言語聴覚士が潤滑油としてコミュニケーション活動を促進できるのかなぁと思います。

 

摂食嚥下能力の維持

  • 高齢者(飲み込みの力が弱い人等)
  • 摂食嚥下障害者(脳卒中後遺症の方等) など

上記のように元から誤嚥のリスクが高い人だけでなく、慣れない避難所での生活で疲労することで、普段は大きな問題ない人もムセる場合もあります。

そのような方々に対して、食事を安全に行えるように、周囲の方に具体的な食事方法を指導したり、情報を提供したりします。またムセにくい摂食方法などの助言も行います。

わびさび
柔軟な対応や分かりやすい指導などがになってきそうですね。
避難地における口腔内の衛生問題

歯磨き等のケアが、道具不足や緊急性の乏しさ等によりおろそかになりがちと思われます。

口腔内には細菌がたくさんおり、歯磨きをしないと細菌が多量に増殖します。その細菌たちが、食事の時に誤嚥などで肺に入ってしまったりすると肺炎のリスクが高まります。

避難地では、衛生問題により肺炎の発症など命の危険につながることもあります。

口腔ケアの道具の支援や指導も重要な役割かと。

 

コミュニケーション機器の評価(情報収集と解決すべき問題の把握)・相談・助言

コミュニケーション手段(50音表・筆談・携帯電話など)を必要あれば、指導します。また、今まで使用してきたコミュニケーション機器について、電池切れや紛失による代替手段の助言も行い、維持に対応します。

補聴器など、普段からさわり慣れていないと扱いの分かりにくいものもあります。自分で調整できればよいのですが、支援者に扱いを任せていて、電池の交換の仕方も分からないといった人も少なくありません。

そのような方々が、コミュニケーション機器が使えなくなったことで、活動を阻害されないように支援します。

わびさび
適切な助言を行うためにも、普段からコミュニケーション機器などに触れておくことが重要になりますね。

 

適切な食事形態の評価・相談・助言

非常食への工夫や指導を行うことで、飲み込みの力が弱った人が安全に食べられるように食事の形態(刻んだりなど)を考え、誤嚥性肺炎の予防に努めます。

ユニバーサルデザインフードと言われる、飲み込みの障害がある人用に作られた食事もあります。

必要あれば、検討することをおススメします!

「ユニバーサルデザインフード」とは、日常の食事から介護食まで幅広くお使いいただける、食べやすさに配慮した食品です。その種類も様々で、レトルト食品や冷凍食品などの調理加工食品をはじめ、飲み物やお食事にとろみをつける「とろみ調整食品」などがあります。

ユニバーサルデザインフードのパッケージには、必ずマークが記載されています。

引用文献:日本介護食品協議会 ユニバーサルデザインフードとは

 
噛む力や飲み込む力の違いによって4区分に分けられています。
  • 区分1:容易に噛める
  • 区分2:歯茎でつぶせる
  • 区分3:舌でつぶせる
  • 区分4:かまなくてよい

どの区分であれば食べやすいか事前に知っておくと、避難所で配られた際にも選びやすいのではないでしょうか。

わびさび
一番良いのは、普段から避難道具と一緒に約1週間分の非常食を準備をしておくことです。備えあれば憂いなし!
食事形態は下げれば良いというものではないという話。

よくある勘違いなのですが、

ムセる、噛めない等=食事形態を下げる など

食べれないからと言って深く考えずに食事形態を下げることは非常に危険なことです。一人一人の環境や状態にあった物を適切に選択することが食べやすさにつながります。

わびさび
訪問・通所で嚥下障害のある方には、区分を評価して事前の準備を勧めておくのが良いのかも。

 

高齢者・障害児者の生活環境保全

避難場所では、老若男女、障害の有無に関わらず、様々な人が集まります。

そのような共同生活の場において、高齢者やコミュニケーション障害者、発達障害者などが、安全に集団生活が送れ
るよう周囲の方に病態の正しい理解を促します。

理解できない事に対して、人は恐怖を頂くようにできていると聞いたことがありませんか?

普段接しないタイプの人、さらに初対面であれば誰であれ警戒心を抱くものです。特に避難所での生活は、否が応でも共同生活を強いられます。

わびさび
言語聴覚士がそのような壁を取り除けるように活動します。

 

生活不活発病の予防および対応

避難所や仮設住宅では動く機会や自分の役割が少なくなり、活動する範囲が極端に狭くなります。その結果、特に高齢の方は筋力や体力の低下、めまいや立ちくらみ、さらに、うつ状態を引き起こすことがあります。これらを総称して「生活不活発病」と言います。

引用文献:2011年度災害時におけるメディカルスタッフの役割 理学療法士

 
 理学療法士や作業療法士と言ったコメディカルスタッフと協力しながら、生活不活発病の予防・回復を目指します。主に理学療法士が中心となって動くことが多いようです。

言語聴覚士としては、嚥下体操の指導などによる、口腔・嚥下機能の不活予防が主になるのではと思っています。

人と会話する機会が減ってしまうと、身体と同様に会話する能力も衰えていきます。

わびさび
集団リハでの技術を生かして、他者とのコミュニケーションを促進できるような関わり方もできるとよいのかなと思います。

 

まとめ:災害がいつ起きても、行動できるように準備しておく

災害リハについて学んでいくうえで、ついつい災害時の活動ばかりに着目してしまっていたことに気付かされました。

災害が起きる前の準備がやはり大切。

普段から適切な行動がとれるように知識を蓄え、準備を怠らないことの重要性を学びました。

災害は発生しないことが一番ですが、いつ自分の身に降りかかることになるかは神のみぞ知るです。

 

私は言語聴覚士で、病院で勤務をしています。

支援をする立場にあるので、このような機会に改めて確認しておくことの重要性を再認識しました。

わびさび
備えあれば憂いなし、ですね

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ABOUTこの記事をかいた人

20代、田舎で言語聴覚士をしています!「わびさび」を感じられる余裕を持つため、QOLの向上を目指します。リハビリ関連の知識のアウトプットを中心に資産運用などにも取り組んでいます。色々なことに挑戦し、役立つ情報を発信できるように頑張ります!!