【リハビリ×機械】音声分析ソフトpraatの臨床での使い方!

前回は、praatを使用した構音評価について紹介しました。

【リハビリ×機械】音声分析ソフトpraatを使用した構音評価を紹介!

2018.04.01

この記事では、私がやっている実際の臨床での使い方を紹介します!

必要な設備

  • パソコン
  • 静かな環境(出来れば防音ができる部屋)

があれば十分にpraatを取り入れての構音評価が可能です。

プラスして、

  • マイク
  • スピーカー

などの音響機器があるとより良いです。

 

わびさび
praatは無料ソフトです。始めるのは非常に簡単なのでぜび試してみましょう!

 

praatで音声分析する際にあると便利な知識

使うだけなら感覚的にも使えます。

しかし、評価・分析まで行うのであれば、音響音声学についての理解も必要です!

音の3要素

  • 大きさ
  • 高さ
  • 音色

 

音の大きさ

⇒音圧(dB)

人間の可聴限界を0dBとして、一般的な会話は60dB、電車は80dBほど。

dBは、

dBの差 倍率
1倍
2倍
10 3倍
20 10倍
40 100倍
60 1,000倍

のように、大きくなる。

なので、dBが大きくなるほどに、差を出すには大きなエネルギーが必要となる。

 

音の高さ

⇒周波数(Hz):1秒間に繰り返される波の数。

人間の可聴範囲は20Hz~20000Hz。

声帯の基本周波数(第0フォルマント)は、男:120Hz、女:240Hzほど。

日本語の母音では、第1フォルマントと第2フォルマントの周波数比が分析するうえで重要。

 

音色

⇒波形:グラフで示され、縦軸が音圧、横軸が時間を表している。

音の印象に影響します。

甘い声、色っぽい声、渋い声など。

同じ大きさ、高さでも、聴覚印象が変わる要素。

 

praatの基本用語の説明

  • Spectrum(スペクトラム)⇒スペクトログラム
  • Pitch(ピッチ)⇒声の高さ(第0フォルマントとなることが多い)
  • Intensity(インテンシティー)⇒声の強さ
  • Formant(フォルマント)⇒共鳴周波数(第一フォルマント、第二フォルマント・・・)
  • Pulses(パルス)⇒(声帯の)振動数

 

サンプリング周波数

音声を電気信号へ変換する際に数値として分析する一定の時間間隔のこと。

サンプリング周波数は、分析する音声の2倍以上の周波数でサンプリングする必要があるので、人間の可聴限界20000Hzの2倍、つまり40000Hz以上あれば十分です。

なのでpraatの場合は基本設定のままでよいかと。

わびさび
大きくしすぎるとデータ量が半端じゃないことになります(-_-;)

 

基本的な操作方法

  1. メニューバーのNEWを選択
  2. Record mono soundを開く
  3. Record(録音)
  4. Nameに名前を入力
  5. Save to list(仮保存)
  6. ファイルを選択後、view&editでスペクトログラムを確認
  7. show機能を使って視覚化しながら、主にフォルマントを中心に評価。
  8. 必要あれば音声再生して確認。

の手順です。

 

保存したい場合は、SaveからSave as WAV fileを選択すれば可能です。

録音後分析する際には、性別により変更する項目があるので注意。

  1. メニューバーのformantを選択
  2. formant settingsを開く
  3. 一番上のMaximum formantを男なら5000に変更

女性はそのまま5500。

 

評価で使う課題

  • あー(発声持続)
  • あー・いー・うー・えー・おー
  • 数字の順唱(1~20)
  • ディアドコ
  • 短文
  • 北風と太陽

黒字は基本的に評価する項目です。

評価する際は、AMSDと一緒にやってしまいましょう!

わびさび
患者さんの負担も軽減します。

実際に取る際の注意点

実際に繰り返しとってみた中で注意しておいた方が良い点がいくつかあったので紹介します。

マイクと口元の距離は一定にする。

評価の一貫性を確保するために重要なポイントです。

特に、距離が異なると音の大きさなどで顕著な影響が出ます。

物差しで測るなどして、基準を決めておきましょう!

  • 声量の乏しいと感知しにくい
  • マイクなどに向かって声を出す時に姿勢が崩れる可能性がある

などの理由から、極力近い位置にマイク等を配置することをおススメします。

課題は視覚的に提示する。

復唱だとダメ、というわけではありません。

復唱だと構音能力に補正が入りやすい点が理由です。

日常会話を想定して音声を評価する場合は、復唱より音読の方がより近い状態の音声を取れるかと思います。

課題とする言葉は、文字として視覚的に提示できるようにしておきましょう!

また、音読は結構高次な運動です。

普段、音読に慣れてないない方は、逐次読み様になったりする方も。

わびさび
読む前に、目で追ってもらう、一回くらい音読してもらうなどした後の方が、より日常会話に近い発話を促しやすいと思われます。

スペクトログラムは10秒以内しか分析できない

praatによるスペクトログラムの分析は10秒以内でしかできません。

その場合は、

  • 分析したい範囲を10秒以内でドラッグ&ドロップ
  • メニューバーのviewを選択
  • Zoom to selection(ctrl+N)を選択すると拡大される
  • 戻したい場合はshow all(ctrl+A)を選択

上記のようにすることで10秒ごとに細かく分析ができるようになります。

いわゆる、狭帯域分析(周波数分解能が高い)ができます。

わびさび
気になる部分をズームして分析しましょう!

 

評価する項目

臨床で手軽にできる評価を中心に紹介します!

Showを一つずつ見ていく

praatの機能として、分析して分かりやすく視覚化できる機能があります。

それが、Show機能です。

  • Spectrum(スペクトラム)⇒スペクトログラムの表示
  • Pitch(ピッチ)⇒声の高さ(水色)
  • Intensity(インテンシティー)⇒声の強さ(黄色)
  • Formant(フォルマント)⇒共鳴周波数(赤色)
  • Pulses(パルス)⇒振動数(青色)

を分かりやすく視覚化してくれます。

基本的に私がみているのは、フォルマントインテンシティになります。

患者さんには、スペクトログラムの縞模様なはっきりしている方が良い、きれいな線が出ている方が良い声です、この数値がいくつ以上だと素晴らしいです、などと簡単に説明しています。

母音の場合です。

インテンシティは、環境によっては結構なばらつきが出るので、聴覚印象で声が小さい時は少し大きめの数値を良い数字と提示するなど臨機応変に!

(可能なら)見比べ、聞き比べ

患者さんが嫌がらない場合は、見比べ、聞き比べをします。

保存しておけば、前回のもの再分析可能です。

保存したデータの出し方

  • openを選択
  • read from fileを開く
  • 保存しておいたファイルを選択 

2つのサウンドスペクトログラムを出して、見比べながら、聞き比べてみましょう。

自分の音声については、目に見えないという問題もあり、改善の実感が湧きにくい問題があります。

その点、聴覚・視覚的に再確認することでフィードバックを強化します。

正しい構音が出来ている音声を、保存しておきましょう!

正常な構音と、何が違うのかを患者さんもセラピストも分かりやすいと思います。

母音・子音の特徴を理解した上で、問題点を見つける。

使い方に慣れてきた方の分析方法です。

母音、子音(摩擦音、破裂音など)の特徴を理解した上で、どのような問題があるのかを分析する方法です。

これは、音声音響学の深い知識や慣れが求められます。

私も勉強不足で、簡単な分析しかできていません。。

 母音の特徴

⇒第一フォルマント、第二フォルマントが範囲に入っているか?線がきれいに出ているか?など

子音の特徴

⇒破裂音の有声、無声はVOT(破裂と声帯振動開始の時間)が正しく出現しているかなど。

一個ずつ詳細に分析できるのが一番良いのですが、業務の時間に余裕のある方は少ないでしょう。

わびさび
慣れてくれば、その場でパッと分析して問題点を抽出できるようになるとのこと。。

 

まとめ:まずは使ってみて、色々いじる。

やってみて思ったのは、使いながら学ぶのが一番学習効率がよく手っ取り早いです。

 

今回紹介したのは基本的な使い方です。

更に勉強を深めれば様々な使い方ができると感じています。

特にpraatを用いて音声を分析する過程で、構音に対して音声音響学的な視野が広がる、のは良い点と思います。

わびさび
Convertの項目からchange genderで声の性別を変えてみたり、Modifyの項目からReverseで逆再生したりで、遊んだりもできるので子供受けも良いですよ!

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ABOUTこの記事をかいた人

20代、田舎で言語聴覚士をしています!「わびさび」を感じられる余裕を持つため、QOLの向上を目指します。リハビリ関連の知識のアウトプットを中心に資産運用などにも取り組んでいます。色々なことに挑戦し、役立つ情報を発信できるように頑張ります!!