【リハビリ訓練】発声発語器官の運動について考える。質を高める工夫を紹介!

発声発語(口腔構音)器官の運動。

リハビリ訓練の一つとして行っている人も多いのではないでしょうか?

新人の頃は、

  • 下顎の下制-拳上
  • 口唇の横引き-突出
  • 頬の膨らませ‐すぼめ
  • 舌の突出‐後退、左右、上下、回旋運動 

といった、一連の運動を特に深く考えもせずにやっていました。

ある時、ふと思い至ります。

ただやるだけだったら、別に言語聴覚士じゃなくともできるじゃん・・と。

臨床経験を積み、私の考えもアップデートしたので、『発声発語(口腔構音)器官の運動』について考えていることや質を高めるためにやっていることを記事にしました。

 

目的を考える

やるからには明確な目的を!

準備運動として

運動を行う時には、準備運動をしますよね。

それと同じ話で、構音動作も運動です。

最大限のパフォーマンスを発揮するための準備運動という視点で行います。

これは何も構音・嚥下障害の方に限った話ではなく、失語症の方にも大切です。

失語症の方は、コミュニケーションをとる機会が減ってしまい、口腔構音器官を動かす機会が減少する方も少なくありません。

喚語することに集中しなくてはいけないのに、口腔構音器官の動きが縮こまった状態では、更に表出の難易度が上がってしまいます。

わびさび
失語症の方に対していきなり表出を促すよりも、口腔構音器官の運動を行ってからの方が、スムーズな喚語を得られやすいように感じます。

評価として

準備運動という視点を持ちながら評価も並行して行いましょう。

  • 左右差
  • 代償動作(頭頸部、下顎など)
  • 運動範囲や速さ、リズム など
わびさび
どの筋肉が機能的でないのか、視診、必要に応じて触診もしましょう!

治療として

口腔構音器官の機能的な動き獲得を目的として行います。

抽出した問題点に対して、様々な角度からアプローチを行いましょう。

わびさび
徒手的にするもの良し、道具を使うのも良し、です。

 

『口腔構音器官の運動』の質を高める工夫

口腔構音器官の運動を、リハビリとして質高く提供する方法を紹介します。

指示は視覚・触覚・聴覚?

指示の仕方ひとつで、大きく患者さんの反応が変わります。

メリットやデメリットがあるので、しっかりと把握した上で与える刺激を選択しましょう!

視覚指示(口を開けて模倣を促すなど)

  • 顔面上部の過剰な努力を誘発するリスクが少ない(目を開けて確認しないといけないため)
  • 運動を模倣することになるので、フィードバック機構が保たれている人は試行錯誤できる
  • 視力に問題のある方を筆頭に、細かな運動を指示しにくい。
  • セラピストが機能的な運動が出来ていないと、患者さんに不良な運動パターンを学習させるリスクがある 
触覚指示(綿棒などを使用して二転識別覚を利用する)

  • 鋭敏である口腔部の触覚を使用することで、細かな動きを誘導しやすい
  • 運動を達成するために、代償動作の出現を誘発するリスクがある
  • 見えにくく口頭で説明しにくい、口腔部の繊細な動きを高齢者にも伝えることができる 
聴覚指示(「口を開けてください」など)

  • 本人の運動パターンでの動作を評価できる
  • 意図しない運動を誘発するリスクがある
  • 難聴のある方や理解力が乏しい方には細かな指示が通りにくいなど、理解力が求められる。 
わびさび
メリット・デメリットを分かった上で、必要に応じて組み合わせましょう!

 

鏡を見る、触ってみる、コメントする

視覚的、触覚的、聴覚的にフィードバックを十分に活用しながら行います。

視覚的に確認するために鏡を活用。

鏡を見て確認しながら口腔構音器官の運動を行います。

この時セラピストは、患者さんの斜め後ろに移動して、一緒に鏡を見ながら行うことをおススメします。

セラピストが対面に座って、鏡を確認しながら、、、となると、視線が鏡見て、セラピスト見てと忙しなく移動する原因になります。

口腔構音器官の機能的な運動を誘発することが目的なので、極力視線が動くといった余計な運動はさせない方が良いはです。

わびさび
集中できるように配慮を!
触覚的に確認するために触って確かめる。

セラピストが触って、筋の動きを誘導するのも良いですが、患者さん自らにも触ってもらいましょう。

自分の手で触って硬さや温度、感触などを知覚することが大切です。

感覚が乏しいのであれば、必要に応じてアイスクラッカーを使用するもの良いかもしれません。

わびさび
目的の運動を行うためにはどの筋肉を刺激する必要があるのかを知っておくことも大切です。
聴覚的にフィードバックしてモチベーションアップ

ジムのトレーナーさんが

「もう少し頑張って!」

「いいよ、いいよ!」

と声掛けしているところを見たことがありませんか?

口腔構音器官の筋肉を動かす時にも、動きを評価して患者さんにフィードバックしましょう。

もちろん、言い方はよく考える必要はあります。

患者さんのモチベーションが上がる、肯定的な声掛けを(*^_^*)

わびさび
認知面の保たれている患者さんであれば、ディスカッションするもの効果的です。
わびさび
全てを効果的に活用するのがベストです!

オーラルコントロールをする

オーラルコントロールの例。

 

顎や舌骨と言った器官は、筋肉で吊り下げられているため、柔軟な動きを可能とします。

しかし、その分、非常に不安定で姿勢の影響も受けやすいといった特徴があります。

そんな問題に対して、徒手的に動的コントロールを行い安定を作る方法が『オーラルコントロール』です。

  • 頭頸部の安定性を作れる
  • 口腔構音器官の分離的で選択的な動きを誘導できる
  • 過開口を防止できる
  • 舌骨、下顎の安定性を作れる など

基本的に口腔部に対して、治療を行う場合はオーラルコントロールが重要と考えています!

口腔構音器官の筋肉は非常に細かく複雑です。

一見正常な運動パターンに見えても、上手に代償していることも。

わびさび
選択・協調的に筋の動きを誘導し、最大のパフォーマンスを出す為には、セラピストの技量が求められるところ<(`^´)>
代償は悪ではない。
代償動作=悪い、といったイメージをしがちですが、一概にダメとは言えないと考えています。必要とあれば、代償動作を上手に活用して目的を達成することも必要です。臨機応変に考えなくてはですね。

 

速度やリズムを変えて難易度を調整する

AMSDの運動項目で評価3を達成すれば、基本的な能力は保たれていると言ってもよいでしょう。

しかし、時々評価3を達成するほどの能力を持っているにも関わらず、呂律のまわりにくさを訴える方など、より高いレベルの構音能力を求める方もいらっしゃいます。

更に高いレベルで治療を進めていくには、課題の難易度を上げるしかありません。

難易度を調整してみましょう。

速度やリズムを変えてみると、代償動作が大きくなるなどして問題点が『明確にみえる』ことがあります。

「問題点が分かりにくいな、、」

という場合には、課題の負荷を上げてみることをおススメします。

わびさび
逆にゆっくり動かすことで問題点が明確になる人もいますよ。

 

動画で撮ってみる

動画を撮れる環境にあるのであれば、動画をとって治療前後の確認をおススメします。

手や足に比べると顔を見る機会って、顔を洗う時ぐらいでほとんどないって方が結構います。

動画で構音器官の運動時の様子を取っておくことで、1ヵ月後、3ヵ月後などの評価に役立ちます。

わびさび
患者さんも変化を分かりやすく理解できるので、モチベーションアップにもつながりますよ。

 

口腔構音器官の運動に関与する筋肉を知る

口腔構音器官の運動をリハビリするには、その運動がどの筋肉によって動いているのかを知っておく必要があります。

私も新人の頃は、

「ここらへんが、動き良くないな」と、

何ともアバウトな評価をして、筋の走行など考えずに促通などを行っていました。

筋のことなど考えもせず、口唇の引きが弱い時などは、あたりを付けて動きを模倣するように介入していました(-_-;)

口腔顔面の筋は細かく小さいので、ある程度予測を付けて触っても効果はあるかもしれません。

しかし、最大限の効果を出す為には筋の走行を知っておくこは欠かせないことだと思います。

わびさび
繊細なハンドリングが求められますね。

 

コラム:量よりも質?

結局は、どちらも大切なんだとは思います笑。

走れば持久力がつくように、回数を増せばその分の筋力はつくでしょう。

しかし、効率的でなかったりすると、量を行っても結果に反映しにくいはずです。

  • 量は、患者さんの意識次第で増やすことが可能です。
  • 質は、セラピストの介入による効果が表れるところだと思います。

量×質=結果と考えると、

わびさび
最大限の結果を導けるパートナーでありたいところです。

 

まとめ:最終的には選択・協調的で高次な動きへつなげるという意識

構音という動作は非常に繊細な運動です。

同時に3次元に動かすことが可能なので、少し問題があっても代償してカバーしやすいといった特徴もあります。

 

種々の運動を評価して、何が構音の歪みや摂食嚥下に問題をもたらしているのかを問題点を抽出する作業が大切です。

 

口腔構音器官の運動を行う目的を明確にして行いながら、最終的には単発的な動作から運動、そしてより高次な活動につなげていきましょう!

わびさび
タスク(作業)を達成するために、必要なコンポーネント(要素)を抽出して、活動・参加につながる介入が大切ですね!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

20代、田舎で言語聴覚士をしています!「わびさび」を感じられる余裕を持つため、QOLの向上を目指します。リハビリ関連の知識のアウトプットを中心に資産運用などにも取り組んでいます。色々なことに挑戦し、役立つ情報を発信できるように頑張ります!!